「もし地震が来たとき、息子は一人で何をすべきか分かっているだろうか」
夏休み直前のある夜、そんな不安が頭をよぎった。私はシングルファーザーとして、仕事中も出先でも、息子が一人で過ごす時間が必然的に増える。夏休みはその機会が43日間続く。大人が近くにいない状況で、子どもが緊急事態に対処できるかどうか——これはワンオペだからこそ、真剣に向き合わなければならないテーマだった。
この記事では、私が小4の息子と夏休みの初日にやった「防災の仕組み化3ステップ」を紹介する。道具は100円ショップとスマホだけ。合計1時間以内で終わる内容だ。忙しい共働き家庭でも、今週末にできる現実的なやり方を書いた。
なぜシングルパパこそ子どもの防災教育が急務なのか

二人親家庭なら、片方が外出中でももう一方がいる。でもシングルパパの場合、緊急時に大人がゼロになる可能性がある。
仕事中に大地震が起きたら。通勤電車が止まったら。私が帰れなくなったとき、息子は一人でどう動けばいいか。「なんとかなるだろう」では済まない。だからこそ、夏休みというまとまった時間を使って、子どもと一緒に仕組みを作ることにした。
小4(10歳)は、正しく教えれば理解できる年齢だ。「危ないから教えない」より、「できることを一緒に決める」ほうがずっと安心につながる。これはPM的な発想でもある——リスクを隠すより、対処手順を共有するほうがチーム全体が強くなる。
ステップ1|緊急連絡先カードを一緒に作る(所要時間10分)
まず最初にやったのが、「緊急連絡先カード」の作成だ。A6サイズの厚紙1枚に、以下の5項目を手書きで書く。
カードに書く5項目
1. 私の携帯番号(暗記していても必ず書く)
2. 祖父母または頼れる大人の電話番号(2件以上)
3. 自宅の住所(フル表記)
4. 近所の避難場所の名前と住所
5. 「まず◯◯小学校の体育館に向かう」という最初の1アクション
大切なのは「子ども本人に書かせる」こと。書く行為が記憶を定着させる。私が口頭で教えるより、息子が自分の字で書いたカードのほうが、いざというときに手が動く。
完成したカードはラミネートして、ランドセルの内ポケットと財布に1枚ずつ入れた。100円ショップのラミネートフィルムで十分だ。スマホのロック画面の壁紙にカードを撮影した写真を設定しておくのも有効な補助手段だ。
ステップ2|避難場所を親子で歩いて確認する(所要時間30分)

地図上で確認するだけでは足りない。実際に歩いて、体で覚えさせる。
私が息子と一緒に自宅から最寄りの避難場所まで歩いた。途中で「ここが危険なポイント」「このルートは通らない」「このコンビニに助けを求めてもいい」という話をしながら歩く。30分もあれば往復できる。
小4だからこそ「なぜ」を伝える
このとき大事にしたのは、「こうしなさい」ではなく「なぜそうするか」を一緒に考えること。
「なんで川沿いの道は通っちゃダメなの?」と息子が聞いてきた。「大雨のときに増水するから危険だよ」と答えると、「じゃあ雨が強いときは別の道にするか」と自分で考え始めた。理由を知った子どもは応用が利く。マニュアルではなく思考力が身に付く。
小4はもう小さな子どもではない。理由を説明すれば、想定外の状況でも自分で判断できるようになる年齢だ。この散歩は防災訓練であると同時に、息子の判断力を育てる時間になった。
ステップ3|備蓄チェックを子どもの役割にする(所要時間15分)
非常用袋の中身を一緒に確認し、「これを担当するのはあなた」という役割を渡した。
息子に任せたのは「懐中電灯の電池チェック」と「水の本数確認」の2つ。月1回、カレンダーに「防災チェック日」を書き込んで、息子がやる仕組みにした。私は「終わったら教えて」と言うだけ。
子どもに役割を渡すと、防災が「知っておくべきこと」から「自分ごと」に変わる。実際、息子は翌月の確認日を私より先に覚えていた。当日の朝に「今日って防災チェックの日だよね」と声をかけてきたときは、正直驚いた。
非常食は子どもが好きなもの(カップ麺・乾パン・チョコレートなど)を1〜2点含めておくと、ポジティブな印象が持てて長続きする。「この袋を開けるときはアイスの代わりにチョコが食べられる」くらいの感覚でいい。
私の実体験|夏休み初日の朝1時間でやりきった話
実際にやってみると、3ステップ合計で約1時間だった。夏休みの初日、朝ごはんのあとに「今日は防災の話をしよう」と切り出した。息子は最初「勉強?」と警戒したが、カード作りを始めたら楽しそうに取り組んでいた。
避難場所まで歩く30分は、普段の通学路とは少し違うルートを歩く「探検」みたいな感覚になった。帰り道にコンビニでアイスを買って食べながら、「もしものときは落ち着いてここに来れば大丈夫だね」と息子が言った。その一言で、私の不安はかなり和らいだ。
「子どもに防災を教えるのは早すぎる」という感覚は捨てていい。むしろ早いほど、いざというときの行動が体に染み込む。ワンオペの私でも1時間でできた。忙しい共働き家庭でも、夏休み最初の週末に十分取り組める内容だ。
まとめ|3ステップで子どもの「自分で動く力」を育てる
今回紹介した3ステップを整理する。
ステップ1:緊急連絡先カードを子ども自身に書かせてラミネートする(10分)
ステップ2:避難場所まで親子で歩いて、理由とともに体で覚える(30分)
ステップ3:備蓄チェックを子どもの月次タスクにして仕組み化する(15分)
防災は「準備しておけば安心」ではなく、「子どもが自分で動ける状態を作ること」だと私は考えている。特にシングルパパ・シングルマザーは、家庭内の大人が一人しかいない。だからこそ、子どもを頼れる存在に育てることが、家族全体のリスクを下げることになる。
夏休みの1時間を使って、子どもと一緒に「もしものとき」の約束を作ってみてほしい。その時間は、防災の準備であると同時に、子どもの自立心を育てる投資でもある。


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