新NISA、年内に非課税枠を使い切るべき?無理して埋めなかった理由

夜にスマートフォンで証券口座アプリのNISA非課税枠を確認する様子 お金・資産形成

12月のある夜、息子を寝かしつけたあとにリビングでスマホを開いた。証券口座アプリを開くと、NISAの「年間投資枠の利用状況」という画面が目に入った。つみたて投資枠は埋まっている。でも成長投資枠は半分も使っていない。残り枠の数字を見て、なんとなく胸がザワついた。

SNSを開くと「年末までに非課税枠を使い切らないと損」という投稿がいくつも流れてくる時期でもあった。埋めなければもったいないのか、それとも無理に埋める必要はないのか。この記事では、私が実際に証券口座を前にして考えたこと、そして「無理して埋めなかった」という結論に至った判断基準をまとめておく。

※本記事は情報提供を目的としています。投資に関する最終判断はご自身の責任でお願いします。

非課税枠は「使い切らないと損」なのか、まず制度を整理する

ノートとコーヒーを前にNISAの非課税枠について考えている様子

結論から言うと、年内に無理をしてまで枠を埋める必要はない、というのが私の考えだ。ただし制度上の事実は知っておいたほうがいい。

新NISAの年間投資枠は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円で、合計360万円まで非課税で投資できる。この年間の枠は、その年のうちに使わなかった分が翌年に繰り越されることはない。つまり「今年の余った枠」は年末でリセットされる。ここだけ見ると、焦って埋めたくなる気持ちはよく分かる。

一方で、生涯にわたって非課税で保有できる上限(非課税保有限度額)は1,800万円あり、こちらは年単位の期限がない。毎年の枠を全部使い切らなくても、時間をかけて1,800万円に近づけていけばいい制度になっている。「今年中に埋めないと一生分の枠が消える」わけではない。この違いを理解しているだけで、年末の焦りはだいぶ落ち着く。

枠を無理に埋めようとして一瞬迷った夜

証券アプリを閉じたあと、リビングで宿題をしていた息子にふと聞いてみた。

「お年玉とか貯めてるお金、全部使い切りたいと思う?」
「別に。使わなくていいなら残しておけば?」
「でも今年中に使わないと、来年には使えなくなるとしたら?」
「えー、それは焦るけど…でも無理に使って失敗したら意味なくない?」

9歳の息子に言われて、妙に腑に落ちた。枠が消えることと、無理に使って損することは別の話だ。非課税枠を埋めること自体が目的になってしまうと、本来一番大事にすべき「生活を崩さないこと」を見失いそうになる。その夜はそれ以上アプリを触らず、いつも通り息子と一緒に寝た。

私が無理に枠を埋めなかった3つの判断基準

証券アプリの残り枠を見て焦った夜から、私は「埋めるかどうか」を次の3つの基準で考えるようにした。

①生活防衛資金を削ってまで埋めない

成長投資枠を埋めるために、生活費3〜6ヶ月分の生活防衛資金に手をつけるのは本末転倒だと考えている。シングルパパの収入源は自分一人分しかない。急な出費や体調不良で収入が止まるリスクは、二人親家庭より高い。非課税枠という「制度上のお得」のために、いざというときの現金が薄くなるのは割に合わない。

②近い将来に確実に出ていくお金を優先する

小学生の息子がいる家庭では、数年以内に塾代や受験費用などまとまった出費が発生する可能性が高い。その見通しが固まっていない段階で、手元の余裕資金をすべて成長投資枠に回してしまうと、必要なタイミングで含み損のある資産を取り崩すことになりかねない。非課税枠を埋めるより先に、近い将来の支出を確保しておくほうが、結果的に投資も長続きする。

③「もったいない」という感情だけで判断しない

枠が余ると「もったいない」と感じるのは自然な感覚だ。でもその感情に押されて、本来なら来年以降に回すはずだったお金を年末だけ無理に動かすのは、判断の軸がずれている。年間360万円の枠をすべて使えるのは、それだけの余裕資金がある家庭の話であって、埋められる人がすごいわけでも、埋めない人が損しているわけでもない。自分の家計のペースに合わない金額を、年末の空気に流されて動かさないようにしている。

実際に私がやっていること

年末のカレンダーを見ながら投資計画を整理している様子

私は毎月の積立NISAとして、全世界株式(オルカン)とS&P500に各5万円ずつ、月10万円を継続している。これだけで、つみたて投資枠の年間120万円はちょうど埋まる計算だ。成長投資枠の240万円は、ボーナスなど余裕資金が出たタイミングで部分的に使うことはあっても、年末に辻褄を合わせるために無理に埋めにいくことはしていない。

埋まらなかった成長投資枠は、その年は使われないまま終わる。それでも、生涯の非課税保有限度額1,800万円に向けては、毎月の積立だけでも着実に積み上がっている。焦って埋めるより、無理のないペースを何年も続けるほうが、トータルでは大きな差になると感じている。

年明け、息子と一緒に年賀状の整理をしていたときにこんな会話をした。

「去年のNISA、結局全部は埋めなかったんだよね」
「え、もったいなくない?」
「もったいないけど、無理して埋めるほうが危なかったから」
「ふーん。じゃあ今年は?」
「今年も同じペースで。焦らず続けるよ」

息子は「ふーん、わかった」とだけ言ってまた年賀状の束に戻っていった。その素っ気なさに、少し救われた気がした。誰かと比べて埋める・埋めないを競うものではない。自分と息子の暮らしのペースに合わせて続けていくだけでいい。

注意:投資の最終判断はご自身の責任で

NISAを含む投資は元本保証ではなく、価値が下がるリスクがあります。本記事は私自身の体験・考え方の整理であり、特定の金融商品や投資行動を推奨するものではありません。非課税枠を埋めるかどうか、投資額をいくらにするかは、ご自身の収入・支出・リスク許容度を踏まえたうえで、最終的にご自身で判断してください。制度の詳細は金融庁や各証券会社の公式情報もあわせてご確認ください。

まとめ

  • 新NISAの年間投資枠(つみたて120万円+成長240万円)は、その年に使わないと翌年に繰り越せない
  • 一方で生涯の非課税保有限度額1,800万円には年単位の期限がなく、焦って1年で埋め切る必要はない
  • 生活防衛資金を削ってまで枠を埋めない
  • 近い将来に確実に出ていくお金(教育費など)を優先する
  • 「もったいない」という感情だけで年末に無理な投資判断をしない

非課税枠を使い切ることよりも、自分の家計のペースで無理なく続けられる金額を守ることのほうが、長い目で見れば大事だと感じている。年末の空気に流されそうになったら、一度アプリを閉じて、本当に埋めるべきタイミングなのかを考え直してみてほしい。


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