奨学金は借りるべきか|教育費シミュレーションの先に考えた選択肢

夜、親子で会話をする様子。教育費や将来について話し合うイメージ お金・資産形成

「奨学金」という言葉を、息子が生活の中で聞いてくるのは、まだ少し早いはずだった。夜9時、パジャマに着替えてベッドに座った息子が、ふと聞いてきました。

「学童のお姉ちゃんが、奨学金借りて大学行くんだって。奨学金ってなに?」
「借りたお金を、大学を卒業してから少しずつ返していく仕組みだよ」
「ふーん。じゃあぼくも借りるの?」

とっさに答えたものの、正直、自分自身も「いくらまで借りていいのか」「教育ローンと何が違うのか」を、人に説明できるほど理解していないことに気づきました。以前、公立と私立で教育費がどれくらい違うかを試算した記事を書きましたが、試算した金額を積み立てだけで全部まかなえる保証はどこにもありません。この記事では、教育費が足りない場合の選択肢になる奨学金と教育ローンについて、違いと「いくらまで借りていいか」の目安を整理します。

※本記事は日本学生支援機構(JASSO)および日本政策金融公庫が公表している情報をもとにした一般的な内容です。制度・金利は変更される可能性があるため、実際の借入・返済計画は必ず公式サイトの最新情報を確認したうえで、ご自身の判断で行ってください。

奨学金と教育ローンの根本的な違いは「誰が返すか」

結論から言うと、両者の一番の違いは「誰が返済するか」です。奨学金(貸与型)は子ども自身が名義人になり、卒業後に子ども自身が返していくのが基本の仕組みです。一方、教育ローンは親が名義人になり、在学中から親が返済していきます。同じ「借りて教育費に充てる」お金でも、返済義務を負う人がまったく違うという点が、まず押さえておきたい基本です。

奨学金には3つの種類がある

日本学生支援機構(JASSO)の奨学金は、大きく分けて次の3種類です。

  • 給付型:返済不要。住民税非課税世帯など、家計基準を満たす世帯が対象
  • 第一種(貸与型):無利子で借りられるが、給付型より基準はやや広いものの成績・家計基準がある
  • 第二種(貸与型):有利子。第一種より基準が広く、多くの家庭が利用しやすい

第二種奨学金は在学中は無利息で、卒業後の返還開始時に利率が確定する仕組みです。利率には上限があり、年3.0パーセントを超えないよう定められています。返還時には「利率固定方式」と「利率見直し方式(変動)」のどちらかを選べるため、将来の金利変動をどう見るかで選択が変わってきます。

教育ローンには「国」と「民間」がある

教育ローンも一枚岩ではありません。代表的なのは日本政策金融公庫の「国の教育ローン」で、借入上限額は350万円(海外留学など一部のケースでは450万円まで拡大)、返済期間は最長18年、金利は固定金利です。世帯年収の上限が設けられている点も特徴です。これとは別に、各銀行や信販会社が扱う民間の教育ローンもあり、上限額・金利・審査基準は金融機関ごとに異なります。国の教育ローンは低めの固定金利で借りられることが多い一方、申込みから融資までに一定の日数がかかるため、入学金の支払いなど期限が迫っている場合は早めの申込みが必要です。

「いくらまで借りていいか」を考える2つの軸

電卓とノートで教育費を計算する様子

結論から言うと、奨学金と教育ローンでは「借りすぎないための目安」がそれぞれ異なります。奨学金は子どもの将来の収入との関係で、教育ローンは今の家計との関係で考えるのが基本です。

奨学金は「卒業後の返済額が年収に対して重すぎないか」

奨学金は子ども自身が返していくお金です。借りる時点では「大学4年間でいくら必要か」だけを見がちですが、本当に見るべきは「卒業後、毎月いくら返すことになるか」です。目安としてよく言われるのが、年間の返済額が卒業後の年収の1割程度に収まっているかという基準です。この基準を大きく超える金額を借りてしまうと、社会人になったばかりの子どもの生活を長期間圧迫することになります。借りる前に、貸与総額から毎月の返済額をシミュレーションし、子どもと一緒に「これは無理なく返せる金額か」を確認しておくことが重要です。

教育ローンは「今の家計で無理なく返せるか」

教育ローンは親が返す借金なので、住宅ローンや他の支出と合わせて、今の家計で無理なく返済できる金額かどうかがそのまま基準になります。国の教育ローンの上限350万円まで借りられるからといって、上限まで借りるのが正解とは限りません。あくまで「教育費のシミュレーションで見えた不足分を補う手段」として、必要な範囲だけを借りるのが基本の考え方です。

住民税非課税世帯などが対象の給付型奨学金という選択肢

返済不要の給付型奨学金は、主に住民税非課税世帯やそれに準ずる世帯を対象に、家計基準に応じて支給額が決まる制度です。多くの家庭が「うちは対象外だろう」と最初から検討すらしないケースがありますが、進学時期の家計状況によっては基準が変わることもあります。「借りる」以外の選択肢として、進学が近づいたタイミングで一度、日本学生支援機構の公式サイトで対象基準を確認してみる価値はあります。ひとり親世帯は家計基準の面で該当しやすいケースもあるため、知っておいて損はない制度です。

教育費のピークに向けて、私が今考えていること

夜、親子でベッドで会話をする様子

以前、公立と私立の教育費を試算した際、大学在学中の4年間が教育費のピークになることが分かりました。そのときから、学資保険には入らずNISAで積み立てる方針にしていますが、正直「積み立てだけで完全にまかなえる」と言い切れる自信はまだありません。だからこそ、奨学金や教育ローンの仕組みを「知らないまま先送りにする」のではなく、選択肢の一つとして早めに理解しておくことが、いざというときの安心材料になると考えています。

先日の夜、寝る前にもう一度、息子とその話をしました。

「奨学金って、借りたら大変なの?」
「借りる金額と、将来の返し方をちゃんと考えれば大丈夫だよ。だから今のうちに、パパも仕組みを調べておこうと思ってるんだ」
「じゃあ、ぼくの分もちゃんと考えておいてね」
「もちろん。でも大人になったら、自分でも考えられるようにしておこうね」

お金の話を子どもの前で隠さずにするのは、いつか自分自身で判断する力をつけてほしいと思っているからでもあります。

まとめ

  • 奨学金(貸与型)は子どもが返す、教育ローンは親が返す。返済義務を負う人がまったく違う
  • 奨学金には給付型・第一種(無利子)・第二種(有利子、上限年3.0パーセント)の3種類がある
  • 国の教育ローンは上限350万円・固定金利・返済期間最長18年。民間ローンは金融機関ごとに条件が異なる
  • 奨学金は卒業後の年収に対して返済額が重すぎないか、教育ローンは今の家計で無理なく返せるかで判断する
  • 住民税非課税世帯などを対象にした給付型奨学金という「借りない」選択肢も、進学が近づいたら確認する価値がある

奨学金も教育ローンも、借りると決まったわけではありません。ただ、仕組みを知らないまま進学のタイミングを迎えると、選べたはずの選択肢に気づけないまま終わってしまいます。まずは教育費の総額を試算し、そのうえで足りない分をどう補うか、今のうちに家族で話しておくことをおすすめします。


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