ある夜、リビングのテーブルに来年分の給与明細と、マンションの家賃収支をまとめた紙を広げていました。隣で麦茶を飲んでいた息子が、その紙をのぞき込んできました。
「パパ、それ宿題?」
「これは大人の宿題やねん。確定申告の準備」
「めんどくさそう」
「せやねん。でも去年は出さなあかんかったけど、今年は出さんでええ年もあるんよ」
「え、なんで?」
息子のその一言で、毎年なんとなく「ひとり親だから確定申告は必要なはず」と思い込んでいた自分に気づきました。実際は、いくつかの条件に当てはまるかどうかで「必要な人」と「不要な人」がはっきり分かれます。
結論、確定申告が必要かどうかを分ける3つの条件

結論から言うと、給与所得しかない会社員のひとり親であれば、確定申告が不要なケースも珍しくありません。判断のポイントは、①給与以外の所得が20万円を超えるか、②医療費控除やふるさと納税などで還付を受けられるか、③年末調整だけでは控除が反映しきれていないか、の3つです。この3つのどれにも当てはまらなければ、年末調整だけで完結します。逆に1つでも当てはまれば、確定申告をしたほうが得になる可能性が高いです。
条件1、給与以外の所得が20万円を超えていないか
私自身、マンションを人に貸していて、ローンや管理費などを差し引いたあとの家賃収益が月あたり約10万円ほど入ってきます。給与以外にこうした所得があり、年間で20万円を超えていれば、年末調整だけでは完結せず確定申告が必要になります。逆に、給与のみで副業も不動産収入もない会社員であれば、この条件には当てはまりません。ひとり親になったタイミングで資産の持ち方が変わった方は、まずここを確認する価値があります。
条件2、医療費控除やふるさと納税で戻ってくるお金があるか

医療費控除やふるさと納税は、確定申告が不要な会社員でも、申告すれば還付を受けられる代表的な項目です。医療費控除の目安は年間10万円で、家族の通院費や薬代を合算できることは意外と見落とされがちです。ふるさと納税も、寄付先が6自治体を超えるとワンストップ特例が使えなくなり、申告が必要になります。これらに当てはまらなければ無理に申告する必要はありませんが、当てはまるなら「義務」ではなく「得をするための申告」として検討する価値があります。
夜、レシートを整理していると、息子が領収書の束をのぞき込んできました。
「これなに、ゴミ?」
「ゴミちゃうで、これがあると税金戻ってくるかもしれへんお守りやねん」
「お守り?ふーん」
「せやろ。捨てたらあかんで」
たかがレシート一枚でも、放っておけば数万円単位の還付を逃すことがあります。地味な作業ですが、家計にとっては小さくない差になります。
条件3、年末調整だけでは控除が反映しきれていない年ではないか
会社の年末調整は便利な仕組みですが、扶養控除や保険料控除など、すべてを網羅しているわけではありません。とくにひとり親控除は、シングルファザーになった年や、年の途中で状況が変わった年は、会社への書類提出が間に合わず反映されないことがあります。私自身、ひとり親控除の初年度は年末調整に間に合わず、確定申告で改めて控除を申請しました。iDeCoの掛金なども、年末調整の書類を出し忘れると、同じように確定申告でしか取り戻せなくなります。
見落としがちな遺族年金の扱い、非課税なので申告に含めなくていい
確定申告が必要かどうかを考えるとき、見落としがちなのが遺族年金の扱いです。遺族年金は非課税所得のため、確定申告の対象に含める必要はありません。私自身、月あたり約10万円ほどを遺族年金として受け取っていますが、これは所得税の計算には一切関係しません。同じひとり親でも、死別か離婚かで受け取る制度が異なり、税務上の扱いも変わります。この違いを知らずに、収入が増えたから申告しなければと身構える必要はありません。
なお、所得の状況や控除の適用は一人ひとり異なります。ここでお伝えした3つの条件はあくまで目安であり、最終的な確定申告の要否は税務署や税理士に確認のうえ、読者ご自身の判断で行ってください。
まとめ
最後に、確定申告が必要かどうかの判断ポイントを整理します。
- 給与以外の所得(家賃収入や副業など)が年20万円を超えるなら申告が必要です
- 医療費控除やふるさと納税などで還付が見込めるなら、申告したほうが得です
- ひとり親控除の初年度など、年末調整で反映しきれていない控除があれば申告を検討します
- 遺族年金は非課税なので、確定申告の対象に含めなくてよいです
この4つを毎年6月から7月頃、給与明細や家計を見直すタイミングでチェックしておくと、申告漏れも払い過ぎも防げます。
次のアクション
まずは今年の家計を振り返り、3つの条件のどれかに当てはまるかどうかを確認してみてください。実際に確定申告が必要だった年にどう乗り切ったか、具体的な手順は関連記事でも紹介しています。


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