仕事納めの前日に30分だけやること|休み明けの自分に引き継ぐPMの段取り

仕事納め前に、コーヒーを片手にノートとパソコンで休み明けの引き継ぎメモを書くデスク 時間術・仕組み化

11月の終わりの夜、息子を寝かしつけたあとにリビングでノートパソコンを開き、12月のカレンダーを眺めていました。仕事納めの日に印をつけて、その前の数日を見ると、年内に終わらせたい作業と、年明けに持ち越すしかない作業が混ざっています。そして毎年、頭の片隅に浮かぶのが「休み明けの最初の朝、自分は何から手をつければいいのか、ちゃんと分かっているだろうか」という小さな不安でした。

この記事では、仕事納めの前にやっておくと休み明けがぐっと楽になる「休み明けの自分への引き継ぎ」の考え方と、30分ほどでできる具体的な手順をまとめます。PMの仕事で人に業務を引き継ぐときのやり方を、年末年始の自分自身に当てはめたものです。後半では、冬休み明けの家庭側の段取りにも同じ考え方を使う方法を紹介します。

仕事納めの前にやることは、休み明けの自分への「引き継ぎ」

結論から言うと、仕事納めの前にやっておくべきことは、年内に全部を終わらせることではありません。休み明けの自分を「別の担当者」だと思って、仕事を止めた場所と次の一手を書き残しておくことです。

年末年始の休みは、長い人で1週間以上あります。それだけ離れると、休み前に頭の中にあった「この件はあの返事待ち」「この資料はここまで作った」という記憶は、ほとんど消えてしまいます。休み明けの自分は、同じ人間でありながら、状況を何も知らない後任者とあまり変わらない状態です。

だからこそ、人に仕事を引き継ぐときと同じように、未完了のタスク・止めた場所・次の一手を1枚のメモにまとめておきます。これだけで、休み明けの最初の数時間を「思い出す作業」に使わずに済みます。

休み明けが憂鬱になるのは、仕事を止めた場所を覚えていないから

仕事始めが憂鬱になる理由はいろいろありますが、忙しい親にとって大きいのは「何から手をつければいいか分からない」状態で朝を迎えることだと思います。

メールの受信箱には休み中にたまった連絡が並び、チャットの未読も増えています。その中から、急ぎのものと後でいいものを仕分け、休み前に自分が何をしていたかを思い出し、ようやく本来の作業に戻る。気づけば午前中が終わっている、ということも珍しくありません。

子どもがいる家庭では、ここに冬休み明けの家庭の予定も重なります。学校の始業式、送迎の再開、習い事や塾の再開日、提出物。仕事の立ち上がりと家庭の立ち上がりが同じ週に来るので、どちらかを思い出すだけで手いっぱいになりがちです。

つまり、休み明けがしんどいのは、休みが長いからというより、休み前の状態を休み明けまで持ち越せていないからです。持ち越す方法さえ決めておけば、この負担はかなり小さくできます。

年末の仕事納め前に、ノートとパソコンで休み明けのタスクを整理しているデスク

仕事納めの前日に30分でやる、引き継ぎの4つの手順

引き継ぎは、仕事納めの当日ではなく前日にやるのがおすすめです。当日は駆け込みの連絡や挨拶で予定どおりに進まないことが多く、最後の30分を確保できないことがあるからです。前日に一度まとめておき、当日は差分だけを書き足すくらいがちょうどいいと思います。

手順1 開いているタスクを全部書き出す

まずは、年をまたぐタスクを大小関係なく全部書き出します。私はひとり親になったとき、家事をPMの仕事と同じようにWBS(作業を細かく分解した一覧)に落とし込みました。仕事の年末も同じで、頭の中にある「途中のもの」を一度すべて外に出すのが出発点です。

書き出すときは、「年内に終わったもの」は入れません。終わっていないもの・返事を待っているもの・年明けに始めるものの3種類だけを並べます。量が多く見えても、ここで漏れなく出しておくことが、休み中に「あれ、どうなってたっけ」と気になる時間を減らしてくれます。

手順2 タスクごとに「止めた場所」と「次の一手」を1行ずつ書く

書き出したタスクの横に、それぞれ「どこまで進んだか」と「休み明けに最初にやること」を1行ずつ書きます。ここが引き継ぎメモの中心です。

ポイントは、次の一手を具体的な動作で書くことです。「資料を進める」ではなく「3ページ目の表に数字を入れる」、「Aさんの件」ではなく「Aさんに見積もりの返事を催促する」。動作まで書いてあると、休み明けの自分は考えずに手を動かし始められます。

私が使っている引き継ぎメモの項目は、次の4つです。

項目書くこと書き方の例
止めた場所どこまで終わっているか提案資料は構成まで。本文は2章の途中
次の一手休み明けに最初にやる動作2章の残りを書き、チームに下書きを共有する
待ち状態誰の返事・承認を待っているか見積もりの返事待ち。仕事始めの週に届かなければ確認する
期限年明けの締め切りや会議の日仕事始めの週の後半に関係者と打ち合わせ

メモはきれいに書く必要はありません。休み明けの自分が読んで分かれば十分です。仕事で使っているメモアプリやタスク管理ツールに、1枚にまとめて置いておきます。

手順3 休み明け最初の3日間の予定を、先にカレンダーに入れる

引き継ぎメモができたら、休み明け最初の3日間の予定を先に組んでしまいます。仕事始めの朝に「今日は何をしよう」と考えるのではなく、カレンダーを開けばやることが書いてある状態にしておくのが狙いです。

私が意識しているのは、次の3つです。

  • 仕事始めの最初の1時間は、たまった連絡の仕分けだけに使うと決めて枠を取る
  • 引き継ぎメモの「次の一手」のうち、急ぎのものから順に作業の枠を置く
  • 冬休み明けの送迎や学校行事など、家庭側で仕事を抜ける時間も先に入れる

私は普段から、息子の送迎で仕事を抜ける時間をOutlookの予定表に先に登録し、チームにも伝えています。休み明けの週も同じで、家庭の予定を先に置いてから仕事の枠を組むと、予定が重なって慌てることがなくなります。

手順4 休み中の連絡の扱いを決めて、周りに伝えておく

最後に、休み中に連絡が来たときにどうするかを決め、関係者に伝えておきます。メールの自動返信に休みの期間と仕事始めの日を書いておく、急ぎの連絡が来たときの窓口を決めておく、といった基本的なことで十分です。

これは相手のためでもあり、自分のためでもあります。「休み中に何か来ていないか」と気になってスマホを開いてしまうのは、扱い方を決めていないからです。決めて伝えてあれば、休み中は仕事の連絡を見なくても大丈夫だと、自分に許可を出せます。

冬休み明けの家庭の予定にも、同じ引き継ぎをつくる

引き継ぎメモは、仕事だけでなく家庭にも使えます。冬休み明けの1週目は、学校や習い事が一斉に再開するので、家庭側にも「止めた場所」と「次の一手」があるからです。

家庭版の引き継ぎメモに書いておくと安心なのは、次のような項目です。

  • 始業式の日と、その日に持っていくもの(宿題・提出物・上履きなど)
  • 冬休みの宿題の残りと、最後の数日でやる分
  • 習い事や塾が再開する日と時間
  • 送迎が再開する日と、その時間に仕事を抜ける予定
  • 休み明けに学校へ出すお便りや、払い込みの期限

これを冬休みに入る前に1枚にしておくと、年明けの数日で慌てて学校のお便りを探し直すことが減ります。学校のプリントの整理のしかたは学校のプリントが山積みにならない理由|シングルパパの『その日のうち1回』ルールでも紹介しています。

12月の夕方、駅まで息子を迎えに行った帰り道に、こんな話をしたことがあります。

「パパの会社って、いつまで?」
「年末ぎりぎりまで。冬休みに入っても、何日かは仕事してるよ」
「ふーん。ぼくの方が先に休みだね」
「そうだね。だから休みに入る前に、パパも学校の予定を一回まとめておくね」
「始業式とか?」
「そう。始業式とか、宿題とか」

息子にとっては何気ない会話だったと思います。でも、冬休みの始まりと終わりが自分の仕事の予定とずれていることを、改めて口に出して確認できたのは大きかったです。家庭の予定も、言葉にした時点で「引き継ぐべきもの」に変わります。

なお、学校の冬休みと仕事納め・仕事始めのずれで生まれる「預け先の空白」は、引き継ぎとは別に11月のうちに確認しておきたいことです。手順は冬休みは2週間しかないのに、なぜ夏より慌てた?学童の年末年始休業を見落としていた話にまとめています。

冬の木立の中で、父親と子どもが寄り添って笑っている様子

私がこの引き継ぎを大事にしている理由

私は2020年から在宅勤務で、時短ではなくフルタイムで働いています。平日は朝6時50分に息子を駅まで送り、15時ごろにまた迎えに行くので、1日の中で仕事が何度か中断されます。中断のたびに「どこまでやったか」を忘れていたら、仕事はまったく進みません。

そのため、ふだんから進捗や依頼事項は文章で残し、席を外しても仕事が止まらない形にしてきました。言ってみれば、毎日の送迎のたびに小さな引き継ぎをしているようなものです。年末年始の引き継ぎは、その中断が1週間以上に伸びただけだと考えると、やることはふだんと変わりません。

もうひとつの理由は、予定どおりにいかない日があると知っているからです。以前、お客様との大事な打ち合わせと息子の発熱が重なったことがありました。そのときは、私だけリモートで参加させてもらって何とか乗り切れましたが、ふだんから状況を周りと共有していたからこそ、急な相談もすぐに通りました。休み明けの最初の週も、子どもの体調や学校の予定で何が起きるか分かりません。引き継ぎメモがあれば、予定が崩れても「次に何をするか」だけは見失わずに済みます。

寝る前のベッドで、電気を消したあとに息子が聞いてきたことがあります。

「パパ、冬休みも仕事のこと考えてる?」
「あんまり考えないようにしてる。休む前に、やることを全部メモしておくから」
「メモしたら忘れていいの?」
「そう。メモが覚えててくれるから、パパは忘れていいの」
「いいなあ。ぼくも宿題のこと忘れたい」
「それはメモしても忘れちゃだめなやつ」

暗い部屋で二人で笑いながら、引き継ぎメモの一番の価値はここなのだと思いました。休み中に仕事のことを考えずにいられると、目の前の子どもとの時間に気持ちを向けられます。引き継ぎは休み明けの自分のためであると同時に、休み中の自分と家族のためのものでもあります。

引き継ぎメモを書くときに気をつけていること

最後に、引き継ぎメモが重荷にならないように気をつけていることを3つ挙げておきます。

1つ目は、完璧に書こうとしないことです。きれいな資料にしようとすると30分では終わらず、結局やらなくなります。箇条書きの走り書きで十分です。

2つ目は、年内に終わらせることを増やさないことです。引き継ぎメモは「年内に全部片づける」ためのものではなく、「年明けに持ち越していい」と決めるためのものです。年末にやらないことを先に決める考え方は、年末は「やること」より先に「やらないこと」を決めるで詳しく書いています。

3つ目は、置き場所を1か所に決めることです。仕事用と家庭用でメモを分けてもかまいませんが、休み明けの朝に最初に開く場所に置いておかないと、せっかく書いたメモを探すところから始まってしまいます。

まとめ:仕事納めの前に、休み明けの自分へ引き継ぐ

  • 仕事納めの前にやることは、年内に全部終わらせることではなく、休み明けの自分への引き継ぎ
  • 休み明けがしんどいのは、休み前の状態を休み明けまで持ち越せていないから
  • 仕事納めの前日に、開いているタスクを全部書き出し、「止めた場所」と「次の一手」を1行ずつ書く
  • 休み明け最初の3日間の予定は、家庭の予定を先に置いてからカレンダーに組む
  • 休み中の連絡の扱いを決めて伝えておくと、休み中に仕事を見なくて済む
  • 冬休み明けの家庭の予定(始業式・宿題・習い事の再開・送迎)にも同じ引き継ぎメモを使う

仕事納めまでまだ少し時間がある今のうちに、引き継ぎメモの4つの項目(止めた場所・次の一手・待ち状態・期限)だけ、メモアプリに用意しておいてください。年末の最後の30分が、休み明けの朝をずいぶん軽くしてくれるはずです。送迎や中断を前提にしたふだんの働き方は、ひとり親の仕事効率化の記事でも紹介しています。


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