11月の初め、夜10時すぎ。息子が寝息を立てはじめたのを確かめてから、リビングでスマホを開きました。来年1月に始まるこどもNISAの口座をどこで作るか、ようやく決めようと思ったからです。
証券会社の案内を読み進めていると、ある文章が目に入りました。「児童手当をこどもNISAで積み立てる」。たしかに、偶数月に振り込まれる児童手当は、息子のためのお金です。そのまま息子名義のNISAに流せば、仕組みとしてはきれいにまとまります。でも、本当に全部入れていいのか。12月にはまた次の振込があります。それまでに決めておきたいと思いました。
この記事では、児童手当がいつ・いくら振り込まれるのかを整理したうえで、こどもNISAに回すときに気をつけたいことと、私が「全部は入れない」と決めた理由、そして12月の振込前に決めておくと楽になる3つのことをまとめます。
※この記事は2026年11月時点で公表されている情報をもとにした一般的な情報提供です。投資には元本割れのリスクがあり、特定の金融商品を勧めるものではありません。児童手当の支給日や手続きは自治体によって異なります。最新の情報はこども家庭庁・金融庁・お住まいの自治体・各金融機関の案内でご確認のうえ、最終的な判断はご自身の責任でお願いします。
児童手当はこどもNISAに回すべき?結論は「長く寝かせられる分だけ」
先に結論を書きます。児童手当をこどもNISAに回すのは、使い道として理にかなった選択のひとつです。ただし、全額を機械的に入れるのではなく、「何年も手をつけずに置いておける分」だけを入れるのがいいと私は考えています。
理由はシンプルで、こどもNISAには小学生のうちは原則として引き出せないというルールがあるからです。一方で、子育て家庭のお金は、塾や習い事、入学準備など、小学校から中学校にかけて出ていくものが少なくありません。「子どものためのお金」という点では同じでも、いつ使うかによって置き場所を分けたほうが、あとで困らずに済みます。
まず確認:児童手当はいつ・いくら振り込まれる?
児童手当は2024年10月分から制度が大きく変わりました。こどもNISAとの組み合わせを考える前に、今のルールを押さえておきます。
支給は偶数月の年6回。12月は10月・11月の2か月分
児童手当は、2月・4月・6月・8月・10月・12月の偶数月に、それぞれ前月までの2か月分がまとめて振り込まれます。以前は年3回でしたが、2024年10月の改正で年6回になりました。12月の振込は10月分と11月分です。具体的な振込日は自治体によって違うため、お住まいの市区町村の案内で確認してください。
所得制限がなくなり、高校生年代まで対象に
同じ改正で所得制限が撤廃され、支給の対象も中学生までから高校生年代まで広がりました。これまで所得が理由で対象外だった共働き世帯にも、今は児童手当が支給されています。「うちは関係ない」と思っていた家庭ほど、使い道を一度考えておく価値がある制度になりました。月額は次のとおりです。
| 子どもの年齢 | 第1子・第2子 | 第3子以降 |
|---|---|---|
| 3歳未満 | 月15,000円 | 月30,000円 |
| 3歳〜高校生年代 | 月10,000円 | 月30,000円 |
たとえば小学生の第1子なら、1回の振込は2か月分の2万円、1年で12万円です。生まれてから高校生年代まで受け取ると、合計は200万円を超える計算になります。毎回の金額は大きくなくても、積み重なると子どもの将来を左右するまとまったお金です。だからこそ、なんとなく生活費の口座に混ざって消えていくのはもったいないと感じます。
児童手当をこどもNISAに回す前に知っておきたいこと
こどもNISAは2027年1月から始まる、0〜17歳の子ども名義で使えるNISAです。児童手当の受け皿として考えるときに、特に関係が深いのは次の3点です。
児童手当を全部入れても、年60万円の枠の2割ほど
こどもNISAで投資できるのは年60万円まで(月5万円に相当)、非課税で持てる上限は600万円とされています。小学生の第1子の児童手当は年12万円なので、全額を入れても年間の枠の2割ほどです。「児童手当の範囲で積み立てる」と決めれば、家計からの持ち出しなしで始められる一方、枠を埋めること自体を目標にする必要はありません。
12歳ごろまでは原則として引き出せない
一番大事なのがここです。こどもNISAは、12歳になるまでは災害などの特別な場合を除いて、非課税のまま払い出すことができないとされています。12歳以降も、子ども本人の教育費や生活費に使うことを確認できた場合に払い出せる仕組みです。小学生のあいだにかかる塾代や習い事代、中学入学の準備費用には、基本的に使えないお金だと考えておく必要があります。
口座は子ども名義。お金の扱いは親から子への贈与になる
児童手当を受け取るのは親です。そのお金を子ども名義のこどもNISAに入れると、税金の上では親から子への贈与として扱われます。年60万円の範囲であれば贈与税の基礎控除(年110万円)に収まりますが、同じ年に祖父母などからまとまったお金を受け取っている場合は合計で判断されるので注意してください。また、こどもNISAは18歳になるまで金融機関を変えられないとされているため、口座をどこで作るかは慎重に選びたいところです。

わが家が児童手当を全部こどもNISAに入れない理由
わが家は、こどもNISAを使うと決めています。そのうえで、息子のために取っておくお金は半分を現金のまま残すことにしました。児童手当についても同じ考え方で、全部はこどもNISAに入れません。理由は3つあります。
理由1:出費が増える時期と、引き出せない時期が重なる
息子は今、小学3年生です。小1の夏から塾に通っていて、中学受験をすることは決めています。来年の小4からは本格的な受験コースに切り替わるので、これから中学入学までの数年間は、講習や受験、入学準備と、まとまった出費が続く見込みです。
この時期は、ちょうどこどもNISAから払い出せない期間と重なります。児童手当を全部こどもNISAに入れてしまうと、「子どものためのお金はあるのに、今は使えない」という状態になりかねません。近いうちに使うかもしれない分は、すぐに動かせる現金で持っておきたいと考えました。
理由2:値下がりしたときに、売らざるを得ない状況を作りたくない
投資信託は値動きがあります。使う時期が決まっているお金を値動きのある商品に入れておくと、必要なタイミングにたまたま相場が下がっていても、売って使うしかなくなります。私は株式投資を始めたばかりのころ、値下がりが怖くなって慌てて売り、数日後にあっさり値が戻ったという失敗をしています。値動きに振り回されて動いてしまうのが、一番避けたいことです。
だからこそ、こどもNISAには「何年も使わない」と言い切れるお金だけを入れます。そうしておけば、途中で値下がりしても、慌てずに放っておけるからです。
理由3:親自身のNISAとのバランスを崩したくない
こどもNISAに入れたお金は子ども名義になり、使い道や引き出しのタイミングに制限がかかります。一方、親自身のNISAは自分の判断でいつでも売れるので、自由度が高い置き場所です。これまで私は、息子の将来のためのお金を自分のNISAの中で「教育費の分」として意識して分けてきました。こどもNISAが始まっても、その全部を移すのではなく、自由度の高い親の口座と、長く寝かせる子どもの口座を組み合わせて使うつもりです。
まだ親自身のNISAを十分に使えていない家庭なら、児童手当をこどもNISAに入れるより先に、親のNISAを動かしたほうが選択肢は広がるはずです。
この話をしたのは、ある日の夕方、駅まで息子を迎えに行った帰り道でした。
「なあパパ、ぼくの名前のNISA、もう作ったん?」
「まだ。1月から始まるから、それまでに作る」
「そこに、ぼくのお金ぜんぶ入れるん?」
「ぜんぶは入れへん。半分は、すぐ使えるように置いとく」
「なんで?」
「これから塾とか受験で、お金を使うときが来るやろ。そのとき使えへんかったら困るからな」
「ふーん。じゃあ、残りの半分は大きくなってからなんや」
小学3年生にどこまで伝わったかは分かりません。それでも、自分の名前のお金に「今使う分」と「あとで使う分」があることを、息子なりに受け止めてくれたように感じました。
12月の振込前に決めておく3つのこと
児童手当の使い道は、振り込まれてから考えると、たいてい生活費に紛れてしまいます。仕事でプロジェクトを回すときと同じで、お金が動く前に「行き先」と「ルール」を決めておくのが一番楽です。12月の振込前に、次の3つを決めておくことをおすすめします。
1. 児童手当を「いつ使うお金か」で分ける割合
最初に決めるのは、児童手当のうちどれだけを長く寝かせ、どれだけを近いうちの出費に備えるかです。正解の割合はありません。目安として、使う時期ごとに置き場所を分けると考えやすくなります。
| 使う時期の目安 | お金の例 | 置き場所の考え方 |
|---|---|---|
| 数年以内 | 塾の講習・受験・入学準備・習い事 | 現金(預金)で持つ |
| 中学〜高校のころ | 中学・高校の学費、部活や留学の準備 | 現金と親のNISAを組み合わせる |
| 大学以降 | 大学の学費、一人暮らしの準備 | こどもNISAで長く育てる |
子どもが小さく、近いうちの大きな出費がまだ見えていない家庭なら、こどもNISAに回す割合を多めにする考え方もあります。反対に、わが家のように受験などの出費が目前に控えているなら、現金の割合を厚めにしておくと安心です。
2. こどもNISAの口座をどこで作るか
こどもNISAの口座開設は、すでに各証券会社で受付が始まっています。受付直後は申し込みが集中し、口座ができるまで時間がかかることもあるとされているので、1月から積み立てたいなら12月中に申し込みを済ませておくと安心です。前に書いたとおり18歳まで金融機関を変えられないため、私は管理の手間を増やさないよう、自分のNISAと同じ証券会社にまとめることにしました。
3. 自動で動く仕組みと、見直すタイミング
割合を決めたら、毎回手で振り分けなくて済むように仕組みにしておきます。たとえば、こどもNISAの積立額を児童手当の範囲内で毎月一定額に設定し、児童手当の受取口座から引き落とされるようにしておけば、振込のたびに考える必要がありません。忙しい時期でも、仕組みが勝手に回ってくれます。
そして、見直すタイミングも先に決めておきます。私は、学年が上がる春に一度だけ割合を見直すのがいいと考えています。塾のコースが変わる、習い事を整理するなど、出費の形が変わるのはたいてい学年の切り替わりだからです。年に1回と決めておけば、相場のニュースを見るたびに迷わずに済みます。

寝る前のベッドで、息子と話したこと
こどもNISAの口座をどこで作るか決めた夜、いつものように息子と同じベッドに入りました。電気を消してしばらくすると、暗闇の中から声がしました。
「パパ、ぼくのNISAって、いつ見れるん?」
「1月に始まったら、一緒に画面を見よか」
「増えてたら、うれしいな」
「減ってることもあるで。でも、すぐには使わへんお金やから、減っても慌てんでええねん」
「ふーん。じゃあ、ほっとくのが大事なんや」
「そう。それが一番むずかしいねんけどな」
「ほっとくのが大事」。息子の口から出たその言葉は、投資を始めたばかりのころの私にこそ聞かせたかったものでした。児童手当をどこに入れるかは小さな決断ですが、親子でお金の話をするきっかけとしては、思っていた以上に大きな意味があるのかもしれません。
まとめ:児童手当は「いつ使うか」で置き場所を決める
- 児童手当は偶数月の年6回、前月までの2か月分が振り込まれる。12月は10月・11月分
- 2024年10月から所得制限がなくなり、高校生年代まで対象。小学生の第1子なら年12万円
- こどもNISAは2027年1月スタート。年60万円まで、12歳ごろまでは原則として引き出せない
- 全部入れるのではなく、何年も手をつけずに置いておける分だけをこどもNISAへ。近いうちに使う分は現金で
- 12月の振込前に「分ける割合」「口座をどこで作るか」「自動化と見直しのタイミング」の3つを決めておく
児童手当は、毎回の金額だけを見ると小さく感じます。でも、行き先を決めないまま受け取り続けると、気づかないうちに生活費の一部になってしまいます。わが家も「全部入れるか、入れないか」で考えていたときは迷いましたが、「いつ使うお金か」で分けてみたら答えが出ました。次の振込が来る前に、まずは家計の中で、子どものために何年も寝かせておけるお金がどれくらいあるかを確かめるところから始めてみてください。
※投資には元本割れのリスクがあります。こどもNISAの払い出し条件や贈与税の扱い、児童手当の支給日などの詳細は、こども家庭庁・金融庁・国税庁・お住まいの自治体・各金融機関の最新の案内でご確認ください。最終的な判断はご自身の責任でお願いします。

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