年末は「やること」より先に「やらないこと」を決める|12月を詰め込まない引き算の段取り

12月の予定を書き込む前の手帳と机。年末のやらないことを決める準備 時間術・仕組み化

10月の終わりの夜、息子を寝かしつけたあとにスマホのカレンダーで12月を開きました。仕事納めまでの締め切り、年末調整の書類、ふるさと納税、クリスマス、大掃除、冬休みの預け先、年末年始の予定。まだ何も始まっていないのに、12月の欄だけがもう窮屈に見えました。

毎年この時期に「今年こそ早めに動こう」と思うのですが、やることを前倒しにするだけでは、12月の詰まり具合はあまり変わりません。この記事では、年末のやることリストを作る前に「やらないこと」を先に決める、PMの仕事で使っている引き算の考え方と、その手順をまとめます。

年末が毎年パンクするのは、やることを足し算しているから

結論から言うと、年末がしんどくなる一番の原因は、去年やったことを今年もすべて引き継いだうえで、新しい予定を足していくことです。12月は、仕事・家・子どもの行事・お金の手続きという性質の違うタスクが、同じ数週間に集まる時期です。

試しに、わが家の12月前後に発生するものを並べてみると、次のようになります。

  • 仕事:年内の締め切り、仕事納め前の引き継ぎ
  • お金:年末調整の書類、ふるさと納税の申し込み
  • 子ども:クリスマス、冬休みの宿題、冬休み中の預け先
  • 家:大掃除、年末の買い出し、お正月の準備
  • 付き合い:忘年会、年末年始の帰省、年賀状

ひとつひとつは毎年のことで、特別に難しいものはありません。問題は量です。共働きでもワンオペでも、平日の夜と週末に使える時間は12月になっても増えません。時間が増えないのにタスクだけが増えれば、どこかで無理が出るのは当然です。

だから、前倒しの工夫をする前に、まず全体の量を減らします。プロジェクトの計画でいえば、スケジュールを詰める前にスコープ(やる範囲)を削る作業です。

「やらないこと」を先に決める3つの手順

やり方はシンプルで、全部書き出す、仕分ける、決めたことを人とカレンダーに伝える、の3つです。11月の週末に30分ほど取れれば十分できます。

手順1 12月のタスクを、迷わず全部書き出す

まずは、12月から年始にかけてやりそうなことを、大小関係なく全部書き出します。私はひとり親になったとき、家事をPMの仕事と同じようにWBS(作業を細かく分解した一覧)に落とし込んで、どこを家電や仕組みに任せられるかを考えました。年末も同じで、頭の中にある「なんとなくやること」を一度すべて紙かメモアプリに出すのが出発点です。

このとき、「やるかどうか」はまだ考えません。去年やったこと、やろうと思ってできなかったこと、なんとなく毎年やっていることを、全部同じ一覧に並べます。書き出してみると、思っていた以上に数が多いことに気づくはずです。

手順2 「やらなかったら誰が困るか」で3つに仕分ける

次に、書き出したものを「やる」「減らす」「やめる」の3つに仕分けます。判断の基準は、そのタスクをやらなかったときに、誰が・どれくらい困るかです。

  • やる:期限があり、やらないと実害が出るもの(年末調整の書類、ふるさと納税の期限、冬休みの預け先の確保など)
  • 減らす:やる意味はあるが、量や手間を小さくできるもの(大掃除の範囲、年末の買い出し、お正月の準備など)
  • やめる:やらなくても誰も困らない、または「毎年やっているから」だけが理由になっているもの

ポイントは、「やる」に入るものは意外と少ないということです。期限と実害で線を引くと、年末の手続きのような絶対に外せないものと、それ以外の「やったほうがいい気がするもの」がはっきり分かれます。後者は、減らすかやめるかを選べるタスクです。

手順3 「やらない」と決めたことは、カレンダーと人に先に伝える

最後に、決めた内容を外に出します。「やる」ものは期限から逆算してカレンダーに入れ、「やめる」と決めたものは、関係する人がいれば早めに伝えます。黙ってやめると、相手に気をつかってしまい、結局12月になってからやることになりがちだからです。

仕事でも、スコープから外した項目は「今回はやりません」と関係者に明示しないと、あとから「あれはどうなった?」と戻ってきます。家庭の年末も同じで、やらないことは決めた時点で宣言しておくと、自分の中でも迷いが残りません。

年末に「減らす・やめる」の候補になりやすいもの

何を減らすかは家庭ごとに違いますが、仕分けをすると候補に挙がりやすいものはある程度決まっています。迷ったときの参考にしてください。

項目減らし方・やめ方の例
大掃除12月に一気にやらず、11月から週1か所ずつ分散する。普段の掃除で届く場所はリストから外す
年賀状枚数を絞る、メールやメッセージに切り替える、写真入りの凝ったデザインをやめる
おせち・お正月料理全部そろえず、家族が実際に食べる数品だけにする。手作りにこだわらない
年末の買い出し混む直前にまとめて行かず、日持ちするものはネット注文や早めの買い物で分散する
年末の付き合い夜の忘年会は無理に出ない。参加できる場面だけ選んで残す
帰省毎年同じ形にしない。近い実家は普段どおり顔を出すだけ、遠い実家は年ごとに判断する

大掃除の分散のやり方は大掃除は12月にやらない|11月から分散させる仕組み化に、帰省の判断基準は年末年始、実家に帰省する?しない?ひとり親が毎年悩んで決めていることに詳しくまとめています。

逆に、減らしたりやめたりしてはいけないのが、期限のあるお金の手続きです。年末調整の書類やふるさと納税は、期限を過ぎると取り戻せないものがあります。ここは「やる」に入れて、早めにカレンダーへ置いておくのがおすすめです。締め切りの整理はふるさと納税は年内いつまで?締め切りと今からやることと年末調整、何をいつ出す?11月に慌てないための書類集め段取りを参考にしてください。

年末のやることリストを書き出したメモとコーヒー

私が年末に「やらない」と決めていること

ここからは、私自身の年末の仕分けです。いくつかは、このブログで別の記事として書いてきたことのまとめでもあります。

12月に大掃除をしない

以前は12月30日に窓を拭きながら焦っていましたが、今は11月から場所ごとに週1か所ずつ進めています。12月の最後の週末にやるのは、最終チェックと仕上げだけです。12月の欄から「大掃除」という大きなかたまりが消えるだけで、カレンダーの見え方がかなり変わりました。

夜の忘年会には無理に出ない

平日の夜は、息子の夕飯・お風呂・宿題・寝かしつけが続く時間で、代わりがいません。だから夜の忘年会は、最初から「出ない」側に仕分けています。そのかわり、参加できる昼の集まりには顔を出すようにしています。これを毎年その都度悩むのではなく、ルールとして先に決めてあるのが大きいです。

近い実家への年始を、特別な帰省にしない

私の両親は車で30分ほどの距離に住んでいるので、お正月も普段の週末と同じように顔を出すだけにしています。長く滞在したり、特別な準備をしたりはしません。年末年始の予定を「大きな行事」にしないことで、準備のタスクそのものが減りました。

クリスマスプレゼントで毎年悩まない

プレゼントの予算は「学年×1000円」を目安にして、欲しいものを聞く前に先に伝えるようにしています。基準が決まっているので、12月に入ってから金額で迷う時間がありません。考え方はクリスマスプレゼントの予算、いくらが妥当?毎年同じ基準で決めていることにまとめています。

11月の夕方、駅からの帰り道に、息子とこんな話をしたことがあります。

「パパ、12月って忙しい?」
「仕事は忙しいけど、家のことは11月のうちに減らしておくつもり」
「減らすって、なにを?」
「大掃除とか。12月にまとめてやらないで、毎週ちょっとずつやる」
「じゃあぼく、窓ふきの係ね」

息子は手伝う場所を決めただけのつもりだったと思います。でも私にとっては、やらないことを口に出したことで、12月の予定がひとつ確定した感覚がありました。決めたことを誰かに伝えると、自分の中でも戻らなくなります。

やらないことを決めると、空いた時間に何が入るか

引き算をして空いた時間は、新しいタスクで埋めないようにしています。ここを埋めてしまうと、結局また12月がいっぱいになるからです。私の場合、空いた時間に入るのは、冬休みの宿題を少しずつ一緒に見る時間や、何も予定を入れない休日です。冬休みの宿題の進め方は冬休みの宿題は夏休みより少ないのに、なぜ毎年ギリギリになるのかに書きました。

キッチンで親子が並んで料理をする様子

寝る前のベッドで、電気を消したあとに息子が聞いてきたことがあります。

「冬休み、どこか行く?」
「まだ決めてない。何もしない日もあっていいかなと思ってる」
「何もしない日?」
「うん。ゲームして、ご飯食べて、ゴロゴロする日」
「それ、いいね」

予定を詰めることが子どものためだと思っていた時期もありました。でも息子の「それ、いいね」を聞くと、予定のない一日も、親子にとってはちゃんと意味のある時間なのだと思います。

もうひとつ、引き算をしても残る大事なものがあります。冬休み中の預け先の確保です。学童や祖父母、習い事が年末年始に同時に止まることがあるので、ここは「やる」の中でも早めに動くものとして扱っています。詳しくは冬休みは2週間しかないのに、なぜ夏より慌てた?学童の年末年始休業を見落としていた話で書いています。

夕飯の準備中、キッチンで並んで野菜を洗っていたとき、息子がふと言いました。

「パパってさ、いつも先に決めてるよね」
「何を?」
「やることとか。だからあんまり怒らない」
「……そうかもね」

余裕がなくなると、人はどうしても周りに当たりやすくなります。やらないことを先に決めておくのは、時間を空けるためだけでなく、自分の機嫌を保つための仕組みでもあるのだと、息子の一言で気づかされました。

まとめ:年末は足し算の前に引き算をする

  • 年末がパンクするのは、去年のタスクを全部引き継いだうえで新しい予定を足していくから
  • まず12月のタスクを全部書き出し、「やらなかったら誰が困るか」で、やる・減らす・やめるに仕分ける
  • 期限のあるお金の手続き(年末調整・ふるさと納税)と冬休みの預け先は「やる」に入れ、早めにカレンダーへ置く
  • 大掃除・年賀状・お正月料理・年末の付き合いは、減らす・やめるの候補になりやすい
  • やらないと決めたことは、家族や関係する人に先に伝えると迷いが残らない
  • 空いた時間は新しいタスクで埋めず、子どもとの時間や休む日にあてる

12月の予定がまだ真っ白なうちが、引き算をするいちばんのタイミングです。今週末、まずは年末にやりそうなことを全部書き出して、そのうち1つだけ「今年はやらない」と決めてみてください。


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