iDeCoにデメリットはある?始める前に知っておきたい注意点

家計簿と電卓を前に将来の資産計画を考える様子 お金・資産形成

ある夜、息子を寝かしつけたあとのリビングで、私はiDeCoの申込ページを開いたまま手を止めていました。NISAの積立はもう1年以上、迷いなく続けられている。だったら次はiDeCoだろうと軽い気持ちで申込画面まで進んだのに、「60歳になるまで引き出せません」という一文を読んだ瞬間、指がマウスの上で固まったのです。

節税になる、老後資金が増える——いい話ばかり聞いていたはずなのに、いざ始めるとなると何かひっかかる。この記事では、私がiDeCoの申込ページで実際に立ち止まった理由と、調べて分かったデメリット・注意点を整理します。始める前に知っておけば、あとから「こんなはずじゃなかった」とならずに済む内容です。

※本記事は情報提供を目的としています。iDeCoや投資に関する最終判断は、必ずご自身の状況を踏まえたうえで行ってください。

iDeCoの申込ページで手が止まった理由

iDeCoは節税効果が大きい制度だと、あちこちで紹介されています。実際、掛金が全額所得控除になる仕組みは魅力的です。ただ、その説明の陰に隠れて、デメリットのほうは意外と語られていないと感じました。

私が申込ページで止まったのは、良い話しか頭に入っていない状態で、初めて「原則60歳まで引き出せません」という制約と向き合ったからです。NISAはいつでも売却して現金化できます。同じ「積立で老後資産を作る制度」だと思っていたのに、この違いを実感として理解していなかったことに気づきました。

老後資金は増やしたい。でも、そのお金に何十年も触れられなくなるとしたら、今の家計に何か支障は出ないか。教育費がこれから増えていく時期に、動かせないお金を作ってしまって大丈夫なのか。そうした疑問を整理しないまま申し込むのは危ういと感じ、いったん画面を閉じて調べ直すことにしました。

調べて分かったiDeCoの5つのデメリット

ノートパソコンと手帳でiDeCoの資料を確認する様子

申込を一度止めて、公的な情報や証券会社の説明を読み直して整理した結果、私が「これは始める前に知っておくべきだった」と感じたポイントは5つありました。

1. 原則60歳まで引き出せない

iDeCoの最大の特徴であり、最大のデメリットでもあるのがこれです。積み立てたお金は、原則として60歳になるまで引き出せません。急な出費で現金が必要になっても、iDeCoの中のお金には手をつけられないということです。

NISAであれば、教育費が重なる年や急な出費にも対応できます。iDeCoに入れるお金は「今後何十年、絶対に使わないお金」だと割り切れる範囲に収める必要があると分かりました。

2. 手数料が必ずかかる

NISAは金融機関によっては口座管理手数料が実質かからないケースが多いのに対し、iDeCoは加入時・運用期間中ともに手数料がかかります。国民年金基金連合会などへ支払う基本手数料は、金融機関を選んでも避けられません。

金融機関が独自に上乗せする手数料はゼロに抑えられる会社を選べますが、基本手数料はどの金融機関を選んでも発生し続けます。掛金が少額のうちは、この手数料の割合が相対的に大きくなる点も見落としがちです。

3. 元本割れするリスクがある

iDeCoには元本確保型の商品もありますが、投資信託を選んだ場合は当然ながら値動きがあります。長期の積立であっても、受け取りのタイミングで相場が下がっていれば、積み立てた元本を下回る可能性はゼロではありません。

しかも60歳まで引き出せないという制約があるため、NISAのように「相場が悪いから今回は様子見」という調整がしづらいのが実情です。

4. 掛金の変更や配分の見直しに制限がある

iDeCoの掛金額を変更できるのは、年に1回だけです。NISAのように「今月は少し減らそう」と柔軟に動かすことはできません。家計が急に厳しくなった月も、iDeCoの掛金だけは決まった額が引き落とされ続けます。

だからこそ、最初にいくらで始めるかの判断が重要になります。無理のない金額から始め、家計に余裕が出てから増額を検討するのが現実的だと感じました。

5. 受け取るときに税金がかかる場合がある

iDeCoは「積み立てるときは非課税」というイメージが強いですが、受け取るときには税金の対象になり得ます。一時金として受け取る場合は退職所得扱いになり、勤め先からの退職金と受け取り時期が重なると、控除の枠を使い切ってしまい、思ったより税負担が増えるケースがあります。

受け取り方法や時期によって税金の扱いが変わるため、「積み立てて終わり」ではなく、将来どう受け取るかまで含めて考えておく必要があると分かりました。この部分は制度も変わりやすいので、実際に受け取る時期が近づいたら改めて確認するつもりです。

それでも私がiDeCoを始めることにした理由

親子で夕食の準備をしながら会話する様子

5つのデメリットを並べると、iDeCoは面倒な制度に見えるかもしれません。それでも私は、月1万円という無理のない金額から始めることにしました。きっかけは、ある日の夕食準備中の息子との会話でした。

並んでキッチンに立ちながら、息子が海の生き物を調べるロボットを作りたいという話を熱心にしてきました。

「大きくなったら、マンタを追いかけられるロボット作るねん」
「いいね、それ。お父さんも見てみたいな」
「お金かかりそうやけどな」
「そこは、お父さんが働いて何とかするから、お前は好きなこと考えたらいいよ」

軽く返した言葉でしたが、料理をしながらふと考えました。息子がやりたいことに挑戦するとき、私が老後の資金繰りで足を引っ張るようなことだけは避けたい。60歳を過ぎても息子に金銭的な心配をかけたくない、という気持ちがはっきりと言葉になった瞬間でした。

もうひとつ、後押しになったのは寝る前のベッドでの何気ない一言です。

「パパって何歳まで働くの?」
「うーん、まだ決めてないけど、なるべく長く元気で働きたいな」
「じゃあ、おじいちゃんになっても一緒に遊べる?」
「もちろん。そのために今からちゃんと準備しておくよ」

子どもは案外、親の老後のことをふと聞いてくるものだと知りました。その質問に「大丈夫」と自信を持って答えられるように準備しておくこと自体が、今の私にとって意味のある行動なのだと思えたのです。

だからこそ、5つのデメリットを理解したうえで、それでも無理のない範囲でiDeCoを使う選択をしました。60歳まで引き出せないという制約は、裏を返せば「老後資金だけは意思の力に頼らず積み上がっていく」という強制力でもあります。教育費とNISAの積立を最優先にしたうえで、余った分をiDeCoに回す。この優先順位を決めてからは、迷いはなくなりました。

まとめ

iDeCoは節税効果が大きい一方で、始める前に理解しておくべきデメリットもはっきりとあります。

  • 原則60歳まで引き出せない(流動性の低さ)
  • 加入時・運用期間中に手数料が必ずかかる
  • 投資信託を選ぶ場合、元本割れするリスクがある
  • 掛金の変更は年1回のみで、柔軟な調整がしにくい
  • 受け取り方によっては、退職金と重なって税負担が増える場合がある

これらを理解したうえで、教育費や生活防衛資金を最優先にし、無理のない金額から始めるなら、iDeCoは老後資金づくりの心強い選択肢になります。デメリットを知らずに始めて後悔するより、知ったうえで「それでも自分には合っている」と判断できるほうが、続けやすいはずです。

※ iDeCoや投資に関する内容は、一般的な情報提供を目的としています。投資信託での運用は元本保証ではなく、選ぶ商品によっては元本割れのリスクがあります。税制や控除の扱いは所得やタイミングによって変わり、制度自体が変更になる場合もあります。実際の判断は必ずご自身の状況を踏まえ、必要に応じて専門家にご相談ください。


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