12月に入ったある朝、6時ちょうどに目覚ましが鳴りました。カーテンの外はまだ真っ暗です。いつものように同じベッドで寝ている息子に声をかけると、布団が小さく丸まったまま動きません。
「起きて、6時だよ」
「……寒い。あと5分」
「5分たったらもう一回呼ぶからね」
「パパ、布団の外が冬すぎる」
思わず笑ってしまいましたが、6時50分には家を出て駅まで送っていく必要があります。秋までは「あと5分」で済んでいたのに、冬になると同じ声かけが2回、3回と増えていく。毎年この時期になると、朝の空気が少しずつピリピリしてきます。
この記事では、冬の朝に小学生が布団から出てこない理由と、起こし方を工夫するより先に「前の晩」に見直しておきたいことをまとめました。ワンオペで毎朝の送迎をしている私が、冬の朝を荒れさせないために決めていることも書いています。
冬の朝に子どもが起きられないのは、気合いの問題ではない

冬の朝に子どもが起きられない主な理由は、「暗さ」「寒さ」「睡眠時間の不足」の3つが重なることです。本人のやる気や甘えだけの問題ではないので、声かけを強くしても解決しにくいのが実際のところです。
朝がまだ暗く、体が起きる合図を受け取りにくい
人の体は、朝の光を浴びることで体内時計がリセットされ、目が覚めやすくなると言われています。冬は日の出が遅いため、6時台に起きる家庭では、起きる時刻になってもまだ外が暗いままです。体にとっては「まだ夜」の状態で起こされることになり、夏や秋と同じ時刻でも起きるのがつらく感じやすくなります。
布団の中と外の温度差が大きすぎる
布団の中は暖かいのに、一歩出ると部屋が冷え切っている。この温度差が、冬の朝のいちばんの壁です。大人でもつらいのですから、子どもが布団にしがみつくのは自然な反応だと思います。冬の寝室は、寒すぎない温度を保つことが睡眠の質の面でもすすめられています。
そもそも睡眠時間が足りていない
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、小学生は9〜12時間の睡眠が目安とされています。6時に起きる場合、9時間眠るには21時ごろには寝ている必要がある計算です。習い事や宿題で寝る時刻がずれ込んでいると、冬に限らず朝はつらくなりますが、暗さと寒さが加わる冬にその不足が表に出やすくなります。
起こし方より先に、前の晩に見直す4つのこと
結論から言うと、冬の朝を楽にするいちばんの近道は、朝の声かけを工夫することではなく、前の晩のうちに「起きやすい条件」をそろえておくことです。朝は親も時間がなく、その場で工夫する余裕がありません。前の晩なら、落ち着いて準備ができます。見直すのは次の4つです。
- 寝る時刻を、起きる時刻から逆算して決め直す
- 朝いちばん寒い場面を、前の晩に減らしておく
- 着替えと持ち物は、前の晩に決め終えておく
- 起きて最初にやることを、1つだけ決めておく
1. 寝る時刻を、起きる時刻から逆算して決め直す
起きる時刻は、学校や送迎の都合でほとんど動かせません。動かせるのは寝る時刻のほうです。前の章の目安で考えると、6時起きなら21時ごろ、6時30分起きなら21時30分ごろが、布団に入っていたい時刻になります。
今の就寝時刻がそこから大きくずれている場合は、いきなり1時間早めるのではなく、15分ずつ前に移していくのがおすすめです。夏休み明けに生活リズムを戻したときも、急に変えると子どもが反発し、少しずつ前倒しするとすんなり受け入れてくれました。冬の前も同じ考え方が使えます。
2. 朝いちばん寒い場面を、前の晩に減らしておく
布団から出た直後の寒さを減らすだけで、起きるハードルはかなり下がります。前の晩にできることとしては、次のような方法がよく紹介されています。
- エアコンや暖房のタイマーを、起きる時刻の少し前に入るよう設定しておく
- 翌朝の着替えを、冷えにくい場所(暖房が効く部屋など)に置いておく
- 寝室から洗面所までの動線で、特に冷える場所がないか確認しておく
どれも前の晩の数十秒でできることです。朝に「寒いから無理」と言われてから対処するより、寒さそのものを先に減らしておくほうが、親子どちらも消耗しません。
3. 着替えと持ち物は、前の晩に決め終えておく
寒い朝に、布団から出たあとで「今日は何を着る?」「体操服いる?」と考え始めると、そこでまた手が止まります。私は季節に関係なく、翌朝着る服と持ち物は夜の歯磨きの前に決めておくようにしています。朝は決めたことを実行するだけにしておくと、起きてから家を出るまでの流れが途切れにくくなります。
冬はここに、上着・手袋・マフラーなど防寒具の置き場所が加わります。玄関の決まった場所にまとめておくと、出発直前に探し回ることがなくなります。
4. 起きて最初にやることを、1つだけ決めておく
起きたあとに何をするかが決まっていないと、子どもは布団の上でぼんやりしたまま時間が過ぎていきます。「起きたらまずカーテンを開ける」「起きたらまず暖かい部屋に移動する」など、最初の1つだけを決めておくと、体が動き出すきっかけになります。カーテンを開ける習慣は、暗い冬の朝でも少しずつ明るくなっていく外の光を取り入れることにつながります。
わが家の冬の夜と朝で決めていること

私の平日は、6時起床、6時50分に家を出て駅まで息子を送り、8時30分から在宅勤務というリズムで動いています。この起床時刻と出発時刻は、季節によって動かしていません。動かすと、毎年冬のたびにリズムを作り直すことになるからです。その代わり、冬は前の晩の準備に少しだけ手を足すようにしています。
ある晩、電気を消したあとのベッドで、息子がぽつりと言いました。
「明日の朝も寒いのかな」
「たぶんね。だから服はもう決めてあるよ」
「靴下も?」
「靴下も。起きたら着るだけ」
「じゃあ、あと5分は1回だけにする」
本当に1回で起きられるかは、翌朝になってみないと分かりません。それでも、朝の大変さを子ども自身が言葉にして、前の晩に一緒に準備できると、朝の声かけが「叱る」から「確認する」に変わります。
もうひとつ大事にしているのは、寝る時刻を変えるときに、前もって予告することです。夏休み明けに生活リズムを戻したとき、いきなりルールを変えて息子に泣かれた年がありました。翌年、「今年は少しずつ戻すよ」と先に話しておいたら、反発がほとんどなかった。それ以来、時刻を前に動かすときは必ず先に話すようにしています。
それでも起きられない朝のルール
前の晩に準備をしても、どうしても起きられない朝はあります。私はそういう日のために、「遅れを取り戻そうとしない」というルールを決めています。朝ごはんを急かして詰め込んだり、出発時刻を気にして何度も声を荒げたりすると、送り出す時間も、そのあとの一日も重くなってしまうからです。
具体的には、出発時刻だけは守り、それ以外は削れるものを削ります。髪を整えるのは駅までの道で、朝ごはんは量を減らしてもいい、という具合です。何を削るかを前もって決めておくと、朝に迷わずに済みます。
まだ薄暗い駅までの道で、マフラーに顔をうずめた息子に聞いてみたことがあります。
「今日、起きるのつらかった?」
「つらかった。でも服がもう出てたから、着たら目が覚めた」
「そっか。じゃあ今夜も出しておこう」
「うん。手袋も」
起こし方を工夫するより、前の晩に置いておいた服のほうが効くこともある。冬の朝は、親がどれだけ上手に起こすかより、起きたあとに迷わない状態をどれだけ作っておけるかで決まるのだと感じています。
起きられない状態が続くときは、体の不調も疑ってみる
寒さや暗さでは説明できないほど朝起きられない日が続く場合は、生活リズムではなく体の不調が隠れていることもあります。たとえば、朝だけ頭痛や腹痛、立ちくらみを訴えて午後には元気になる、といった状態が続くときは、起立性調節障害などの可能性もあると言われています。
こうしたときは、家庭での工夫だけで何とかしようとせず、かかりつけの小児科に相談してみてください。冬の朝がつらいのはよくあることですが、「いつもと様子が違う」と感じたら、その感覚を大事にしてほしいと思います。
まとめ
- 冬の朝に起きられないのは、暗さ・寒さ・睡眠不足が重なるため。気合いの問題ではない
- 小学生の睡眠は9〜12時間が目安。寝る時刻は起きる時刻から逆算して決める
- 寝る時刻を変えるときは、予告してから15分ずつ前に移す
- 暖房のタイマーや着替えの置き場所で、朝いちばんの寒さを前の晩に減らす
- 着替え・持ち物・防寒具は前の晩に決め終え、起きて最初にやることを1つ決めておく
- 起きられなかった朝は取り戻そうとせず、出発時刻だけを守る
- 朝だけ体調不良が続くときは、小児科に相談する
次のアクション
まずは今夜、明日の朝の着替えを一緒に決めて、寝室の外の暖かい場所に置いてみてください。それだけでも、明日の朝の「あと5分」が1回減るかもしれません。朝の流れ全体を見直したい方は、送迎込みで朝を50分で回している方法や、崩れた生活リズムを1週間で戻す方法もあわせて参考にしてみてください。

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